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妄想日記

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宗教と心

宗教と心、略して宗教心(違うッ!独りボケ突っ込みT□T)

昨日、一人の青年が不幸にも私の家にセールスに来た。

青年と書いたが年齢不詳。高校生には見えないし、いい大人にも
見えない…。推察、20代半ば。けれども彼は余りに幼すぎる
雰囲気と眼差しで…その瞳は怖いくらいに綺麗だった。

彼「あの、あ、あの…」
私「はい?」
彼「あ…あの、僕は…あの、福祉施設で働く人たちが、あの…」
私「はい。」
彼「あの…一枚一枚丁寧に袋詰めした、こ、この…ふき…布巾
  この布巾を買ってくださると、その一部が、あの…」

普段なら即座にイラつきを前面に押し出し「帰れ」と一蹴しそうな
私も、余りに…本当に余りに余り、彼から純粋すぎて気が狂い
そうなくらい純粋なオーラが放たれていて、固まってしまった。

彼「あの…代金の一部がふく…ふ、ふく、福祉施設に…き、き、
  寄付されるので…かっ、うっ…売って歩く、ボランティア、を…
  しています。買って、かっ、かって買ってください。」
  
私は深いため息を漏らしそうになった。(やっと言えたね…。)

真っ直ぐに私を見つめて訴えかける彼の瞳は、もしかすると
私のこれまでの人生において一番綺麗で、一番純粋だったと
言えるかもしれない。

私は信心深い檀家や信徒でもなければ、憎むほどに恨みを
抱いていることも無く、むしろベクトルは何処へも向かない=
宗教に注ぐエネルギーを持ち合わせていないと思う。

そんな私だから、宗教の勧誘は秒殺である。
耳を貸すこと自体が勿体無い。議論する気も毛頭ない。
あいにく温かい心も持ち合わせてはいない。

私は、旦那の食事を準備しながら持ち帰った仕事をPCで
片付けるという非常に忙しい最中であった。その時間、夜8時。
どうして私は彼のたどたどしい話に耳を傾けたのだろう…。

そもそも、こんな時間帯に回るセールス・勧誘が胡散臭いし
ひとの都合もお構い無しに自分の都合を捲し立て、挙句
不機嫌になって帰ってゆく輩が多いため、その手には殊更
冷たい私が、だ。

彼は、自分が言うべき台詞を言い終え、ただ…じっと…
身じろぎせずに私をじっと見つめていた。

「んー…、買いません。ごめんなさいね。」

それでも彼は何も言わずじっと私を見つめている。

「私が買えば、本当は良いのだよね。でも…買わないの。
あなたにとっては、自分が持っている布巾の1枚くらい、私が
買ってくれても良いではないかと思うかもしれない。
でもね、私にとっては、こうして売りにくるのはあなた一人では
無いのよ。私は、あなた一人から何かを買ってどこかに寄付する
ってことが不平等に感じるのね。あなたから買うなら他の人からも
買わなければと思うし、このあと別の人から『あの人からは
買ったじゃない』と言われたら、困っちゃう。」

「わかるかな…?」

「実は、あなたとは違う形で募金をしているのだけど、私には
私のやり方でボランティアを出来ると思っているから、協力
できません。ごめんなさい。」

理屈が通っているとは自分でも思っていなかった。
彼だって納得できなかったと思う。
いつもなら無下に断り、相手の話もさえぎりインターホンを切る
のに、このときばかりは通らない理屈と分かっていても、彼に
真摯な心を持って接するしか出来なかった。

彼の持っている袋詰めの布巾を見ても、純粋すぎる彼の瞳を
見ても、醸し出される雰囲気からも、彼が何らかの宗教団体
(彼自身は本当に福祉ボランティアと思っているだろうが)
であることは窺い知れた。

私が寄付する(としても)お金は、末端である彼の純粋な心と
行いというフィルターを通しても尚、薄汚れた心と欲、あるいは
原理主義に走って暴徒と化す人間の懐へと納まるに違いない。

私は、昨日からずっと…公園に捨てられた子犬を自分の意思で
あえて見捨てたような罪悪感に苛まれながら、彼のような純粋な
心を食い物にして私欲を満たそうとするえげつない奴に対する
憎悪と怒りで、情緒不安定になっている。

自分の意思で、はっきりとした意思で断ったくせに、罪悪感を
抱いている自分にも反吐が出るし、どんなに忌み嫌ったとしても
人の心を食い物にする不貞の輩を成敗することなど私には
出来るはずもないし…、今更ながら非力だな、と。

あ、読んで下さる皆様、慰めは無用です。
同情は有り難く頂きますし、批判も甘んじて受けますが、
それらは内容に対してであり、私個人の感情に際しては
自業自得でございますから。

何かしらの淡い期待をするとすれば、どのような考え方が他に
在るのか?であったり、一言「ばぁ~か」と私を笑い飛ばして
くださること。w

彼は、何を思い何を考え、何を目指して生きているのかな。

もしかすると、私は単純に彼に興味があるだけなのかもしれない。
by mafo-pandakun | 2006-09-07 01:35 | 妄想